勉強のカラクリ 27 「社会で生きるために」

「何のために勉強するの?」という問いに対して、私は明確な答えを持っています。

それは、

「社会に出て、しっかりひとりで生きていけるようになるため」に勉強するのです。

しかし、今の日本は何となく働いていても生きていけます。それでは、「しっかり生きる」とはどういうことなのでしょうか?

小学生、中学生、高校生を長年教えていますが、びっくりするほど社会の事を知らない子が多いと感じます。

小学6年、中学3年の社会で公民を先に教えると決まりましたが、中学生はあいかわらず地理、歴史におされて公民は後回しです。

新聞もニュースも見ないし、ご家庭で世の中の出来事について話をすることもないので、一般的な社会常識も知りません。

その代わり、YouTubeやTik Tokなどの流行にはとてもくわしいです。そうしたものの中にも正しい情報は存在しますが、情報の根拠がはっきりしないいい加減なものもたくさんあります。そうした適当な情報が真実だと思い込んでいる子も数多くいます。

いい加減な情報に振り回されてはいけません。大人になって何か困難に直面したとき、正しい判断や信頼できるところに相談できるようになるために勉強するのです。

そうした子たちが初めて社会と向き合うのが就活です。しかし、就活でも社会で使われる基本用語を丸暗記するだけなので、その言葉の裏側にある人間の気持ちや歴史的な深い経緯まで理解する時間がありません。

国や地方公共団体、大手企業などに成績優秀で入った子たちが、やがて日本を動かしていきます。受験勉強や就活の勉強だけでは、よりよい社会を築き上げるためのアイディアはなかなかわいてこないのではないでしょうか?

勉強とは「社会に出て、しっかりみんなでで生きていけるようになるため」にするものなのです。