勉強の裏技 83 「”嫌い”が強すぎる」
授業をしているときに、勉強が「嫌い」という話をよく聞きます。
「嫌い」の原因はいろいろなものがありますが、ここでは二つのパターンについてお話します。
まず一つ目は、「わからない」がどんどんたまってイヤになってしまうパターン。
学校も集団塾も一人の先生がたくさんの生徒を見ているため、ひとりひとりの「わからない」にとことん寄り添ってあげる事ができません。勉強はその学年で終わらせなくてはいけない量が決まっているので、わからなくてもどんどん先に進んでしまいます。
今はやりのアクティブラーニングは「基本的なことは、家や塾などでやっておいて」が大前提で、当然みんな基本的なことはわかっているでしょ? それを使って深く学んでいきましょうねという学習方法です。そうなるとそもそも基本的なことが定着していない子たちはいったいどこで教えてもらうんだろう…という感じになってしまいます。
どこかでしっかり基本から確認していかないと、「わからない」「嫌い」はどんどん雪の玉を転がすように大きくなってしまうばかりです。
もうひとつは、「みんなで嫌い」というパターン。
友だち同士で「あの先生、イヤだよね」とか「この教科は全然わからないよね」という話になり、「そうそう」「わかるわかる」と共感します。そんな会話が続くと「みんな嫌なんだから、自分もその勉強はやらなくていい」と思ってしまう事ってありませんか?
でも、「イヤだよね」「勉強なんて、全然やっていない」と友だち同士で話している子たちの中には、塾や家庭教師などでしっかり勉強している子たちが確実にいます。そしてそうした事実を知らない親御さんや子供たちもかなりの割合でいるのです。
「みんなやっていないから安心」とは決して思わないでください。
いずれにしても、「嫌い」と思ったら徹底的に「嫌い」になってしまう子が多い時代です。
ネットやSNSの世界では、自分が好きな情報ばかり流れてきます。自分の心地よいものばかりで毎日を満たしていたいので、「嫌い」なものの存在が許せません。
この世の中は実にたくさんの要素で成り立っています。「嫌い」でもなんとか折り合いをつけて一緒に生きていかなくてはならないことも出てきます。
どんなことも全否定するのではなく、少しずつ折り合いをつけていけるようになるといいですね。